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野馬追文庫(南相馬への支援)十八

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野馬追文庫(南相馬への支援)(十八)
二〇一四年に届けた本と送り先の変更(上)
山内薫

 二〇一四年の一月の本としてKさんから『サザエさんかるた』(赤ちゃんとママ社)の提案があった。『サザエさんかるた』は二種類あり二〇一二年一〇月に復刻されたものと二〇一三年一〇月に復刻された「その弐」をそれぞれ一八ずつ送ることとなった。
 現地からも
 「野馬追文庫、本日届きました。サザエさんのかるた・・・・・・みんなで感激しました。早速、週明けから配本させていただきます。入居者の方も懐かしく、かるた取りに盛り上がるのでないでしょうか。」
という便りが届いた。また「南相馬市災害ボラセンブログ」にもカルタをやっている写真が掲載され、「こちらではカルタで頭の体操、サザエさんかるたで楽しく行いました。」という記事が載った。

 二月の本は、一月にも提案のあった『てぶくろ』(エヴゲーニ・ミハイロヴィチ・ラチョフ作・絵、 内田莉莎子訳 福音館書店)に決まった。おじいさんが雪の中に落とした片方の手袋にねずみ、かえる、うさぎ、きつね、いのしし、おおかみ等の動物が次々と入って一緒に暮らそうとする話で、私は「『てぶくろ』はこの時期にぴったりだと思います。南相馬はあんまり雪が降らないそうですが、何か手袋が仮設住宅のように思えてきます。」とメールした。

「たしかに、仮設のようですね。身を寄せ合って、励まし合って・・・・・・。なので、二月分は、『てぶくろ』で意見がまとまった。」
 三月は何冊かの候補の中から『ちょろりんのすてきなセーター』(降矢なな作・絵 福音館書店)。 四月は『はなのすきなうし』(マンロー・リーフ著 ロバート・ローソン絵 光吉夏弥訳 岩波書店 )を送った。

 五月は現在までもずっと続けて本をお送り頂いている高知こどもの図書館から頂いた、『桂文我落語紙芝居』全六巻六セット計三六巻を三六箇所に送ることになった。(六巻の内容は『さらやしきのおきく』絵・久住卓也、『めがねやどろぼう』絵・東菜奈、『七どぎつね』絵・渡辺有一、『さぎとり』絵・国松エリカ、『とまがしま』絵・田島征三、『うなぎにきいて』絵・長谷川義史)この紙芝居の高知こどもの図書館への寄贈の経緯は「高知市内で、読み聞かせをしていた方(男性)が、震災に心を痛めていて、自分も被災地に行ってお話を読んであげたいと希望されていたそうです。でも当時からご病気で願いがかなわず・・・・・・。被災地の子どもたちのことを気にかけながらお亡くなりになったそうです。今回、奥様からご主人の 遺志を生かしてほしいとこの紙芝居の寄贈になったそうです。」というもので、それぞれの紙芝居には次のようなメッセージを裏表紙に貼った。

「高知には紙芝居が大好きなおんちゃん(おじさんのことです)がいて、大震災以降、いつか実際に東日本の各地で紙芝居をしたいと思っていました。大学は福島県内の大学に進学していたので、福島への思いは格別でした。でも、その願いをかなえる前にガンに倒れ、願いを果たせませんでした。自分(夫)が大好きだった紙芝居を、福島の子どもたちが楽しんでくれたら、それがなによりうれしいことだろうと思って、今回紙芝居を送らせてもらいました。みんなが喜んでくれますように。MS」

 六月分は雨をテーマにした絵本が何冊か候補に挙がっていたが、当時放映されていたNHKの朝のドラマ『花子とアン』の主人公村岡花子が翻訳した絵本『アンディとらいおん』(ジェームズ・ドーハーティ作 村岡花子訳 福音館書店)か『いたずら きかんしゃ ちゅう ちゅう』(ヴァージニア・リー・バートン作 村岡花子訳 福音館書店)はどうかという話になり、最終的には子どもと一緒に年配の方も楽しんでいただけそうということで村岡花子訳の『赤毛のアン』に決まった。

 丁度二〇一四年の五月に刊行された愛蔵版の『赤毛のアン』(講談社)とカラフルなイラストの表紙の講談社青い鳥文庫版の『赤毛のアン』を一八冊ずつ送ることになった。「愛蔵版は、装丁のタイトル字やなんとページ周りも金ピカ(お値段青い鳥文庫の三倍)、でも内容は、青い鳥文庫とテキスト・挿絵とも同じ。ルビの振り方なども同じ。行替えなどがほんのちょっと違うところがあった程度でほぼ同一。ただ、大きく違うのは愛蔵版は、テキストや挿絵の色はセピア色(濃い目の茶色)で目に柔らかい感じでした。これで随分印象が変わっていました。特に挿絵の感じが全然違うんです。おんなじ絵なのに。」(Kさん)

 Yさんは何冊かを読み比べて次のような感想を送って下さった。「『赤毛のアン』のお話が出たので、少し比較して読みました。今どきのせいか、『赤毛のアン』は、貸し出し中で『アンの青春』で読んでみましたが、村岡訳、掛川訳ではかなり印象が違います。同じ村岡訳でも、出版時期や出版年数によって違いますし、(私が読んだのは講談社訳とポプラ社訳)装丁などによっても印象は異なると感じました。読んでいてすっと頭に入っていくのは掛川訳、しかし細かいところになると村岡訳のほうが丁寧な感じがしますし、アンという主人公のイメージも村岡訳の方がやわらかい印象です。(あくまで私見ですが)いづれにしても、このブームを きっかけに多くの人が『赤毛のアン』シリーズを読んでくれればいいですね。」

 Kさんのメール「掛川さんの訳との比較は、やはり訳された時代の影響というのが、あるとは感じています。掛川さんの訳の方が正直今の感覚ではなめらかに読める感じはします。今回は、『赤毛のアン』を送るというより、「村岡花子」という人に興味を持って、まず本を手にとって読み始めてくれたなら・・・・・・ですね。南相馬図書館にはかなりの蔵書が確認出来、青い鳥文庫の大活字版も所蔵があるようです。」

 今回、高知から折り紙のピカチュウと小さなバック、アンパンマンが送られてきた。
「それでアンパンマンみたとき、、保健センターに送りたくなって(自分の仕事の乳幼児健診の光景が目に浮かんだのです)、お仕事中なのにOさんにお電話してしまいました。前回高知から赤ちゃん絵本も届いていたので、これも保健センターにお送りしたかったし、南相馬の小児科に前からお送りしたいと思っていたので・・・・・・。電話の向こうで懐かしいOさんの声。保健センターの他に市内の開業小児科に贈りたいのだけれどと尋ねると、なんと今一軒も小児科開業医は南相馬にいないと・・・・・・な、なんと!お一人、老医師が、市立総合病院にかろうじていらして、乳幼児健診もこのドクターお一人でこなしていらっしゃるとか・・・・・・な、なんと!もともと小児科不足だったのに、震災後少なかった小児科医は県外へ・・・・・・。南相馬の乳幼児帰還率が三六%になった、少し数字があがったでしょ?といいつつ、Oさん、さみしそう・・・・・・。私も言葉が上手く見つからず・・・・・・。アンパンマン折り紙とこぐまちゃんの絵本などOさんのところにお送りしました。」

 この一緒に送ったアンパンマンの折り紙が大人気だったようで、Oさんからは次のようなメールを頂いた。

「いつも、お心に留めていただけていて、うれしいです。ありがとうございます。絵本もたくさんありがとうございます。午前中に届きました。アンパンマンの折り紙は、すごいですね。職場のみんなが『おおー』と感嘆の声を上げておりました。」その後、三歳児健診でアンパンマンの折り紙を手にした子どもたちの写真も送られてきた。

 折り紙を送って下さった高知こどもの図書館のHさんから

「アンパンマンの折紙を喜んでくれている子どもたちのすてきな写真をありがとうございました。アンパンマンは高知出身のやなせたかしさんの生み出した、高知自慢のキャラクターです。喜んでもらえてうれしいです。こどもの図書館では開館以来ずっと一五年間、折り紙教室を毎月一度開いています。折り紙教室に毎回来て下さっている方や先生たちも、南相馬市の皆さんのこと忘れたりはしていません。送って下さった写真、教室の皆さんにお披露目させて頂きますね。また何か送れたらと思います。」

 ところでKさんから次のようなメールが届いた。「ずっと窓口として一貫して『平らな』姿勢で私たちに向き合い、受け入れてきてくださってきた生活支援相談員主任のRさんが四月一日付で異動になられました。原町の方に移られ南相馬市社会福祉協議会事務局次長兼地域福祉課長として赴任されたそうです。後任は、Tさんという方とのことです。私はお名前に記憶はなく、お会いしたことはきっとないと思います。四年目に入り、震災直後のOさん、そのあとのRさんと受けてくださる方あっての支援でした。また違った関係性や展開になるでしょうか・・・・・・。明日にでもお電話でご挨拶をしてみようと思っております。」