視覚障害児のためのわんぱく文庫
視覚障害児のためのわんぱく文庫(大阪)福山恭子代表
2016年1月 わんぱく文庫は35年の幕をおろしました。福山恭子
「私にも読める本」「「この子にも読める本」・・・見えない子どもや親の願いに応えようと、1981年からわんぱく文庫の活動は始まりました。1996年大阪府立中央図書館が新しくオープンしたとき、活動の趣旨に賛同した図書館が文庫に場所を提供。児童室のフロアーに点訳図書と点字絵本が並べられ、ここに画期的な公共図書館での一般貸し出しが実現しました。
それまで見えない子にとって図書館は縁のないところだったのに、図書館に見えない子どもたちも見える子どもたちと同じ様に本を借りにきて、書棚から引っ張り出して読みふける。「ねえ、このてんてん、どうやってかくの?」と見える子が見えない子に尋ねたり、見えない子が楽しそうに読んでいる姿を見て、見える子が自分も点字の本を借りて学校でお友達に見せたり・・そんな交流はわんぱく文庫の活動の大きな願いでもありました。また、直接借りに来ることが出来ない全国の子どもたちに郵送貸し出しで本を届けています。
陶志くんの絵本 『ぼくの1にち』ができました!
わんぱく文庫代表福山恭子さんと、文庫のお仲間の和田むつ子さんの制作による、手作り絵本です。このお子さんにとって、この世の中に読める絵本は今まで1冊もありませんでした。
大阪に住む陶志くんは、シューベル症候群という障害からくる見えにくさを持つお子さん。見えにくい(弱視)という状態は、ひとりひとり、その状態は全く違うのが普通ですが、陶志くんの場合は、とくに眼球運動の問題なども絡み、「見る」ということに関しては、大変難しい状態を抱えておられます。
「絵本を読むこと」は陶志くん親子にとって、「ゆめ」だったそうです。
「僕が読める絵本」をつくってもらった陶志君は、この絵本を「ぼくのたからもの」と大切にしているそうです。内容は、陶志君の名前の文字一つ一つをかるたのようにして、文章と絵を見開きに展開してあります。36ポイント教科書体の文字なら陶志君は読める。細かい絵は全体が流れて見えてしまうから使わない。絵には必ず縁ど りが必要だが、濃すぎても太すぎてもダメ。見えやすい色は何か・・・何度も何度も描き直して作った絵本。陶志くん ゆっくりゆっくりメガネの奥の目を一生懸命動かして文字を読み、絵を見て、「あっ スクールバス 一緒だ」「○○ちゃんと△△ちゃんだ」などと歓声を上げているそうです。
絵本を読む陶志くん 嬉しそうですね。
(2013、4月 撹上記)
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