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てんやく絵本ふれあい文庫

「見えない子ども達のために絵本を」と考えられ始めたのは、今から約40年前。
それはボランティアによる手作りから出発しました。まず、北海道で布の絵本が作られ、その後まもなく東京でさわる絵本が作られ、全国に広がっていきました。

「ふれあい文庫」が、活動の主にしている、てんやく絵本が生まれたのは約30年前。
その後パソコンによる点訳が普及し、20余年前から点字絵本も作られるようになりました。これらはそれぞれ形態も製作目的も違うにもかかわらず、すべてさわって楽しむことができるため、今でも「さわる絵本」と、ひとまとめにして呼ばれる事が多く、ここで一度整理しておきたいと思います。

 布の絵本とは台紙が布で出来ていて、そこに様々な布で作った絵を綴じ付けたものですが、中には一部の絵をスナップやマジックテープでとめて、取り外しできるように工夫しているものもあります。この絵本の用途は広く、見えない子ども達だけでなく、手先が不自由な子どもや、知的障害の子ども達も楽しむことが出来ます。

 さわる絵本とは市販の絵本をモデルにする事が多く、描かれている絵に近い色と手ざわりの材料を使って、絵を形作り、厚紙にはりつけたもので、文章は点字と普通の文字とで書かれています。幼い視覚障害児を対象に作られていますが、小学生でも十分楽しめます。

 てんやく絵本とは市販の絵本をそのまま用いるもので、透明の塩ビシートに文章を点訳し活字部分に貼り付け、絵の部分も同じシートで形を切り抜き、絵の上に貼ったり説明文を書き添えるなどして、見える人と見えない人が一緒に楽しめるようにしたものです。
もともと子育て中の視覚障害者のために作られたものですが、現在では視覚障害児がいる家庭や、地域の読書活動に参加している視覚障害者の利用も増え、視覚障害児が在籍する幼稚園や小学校、点字図書館や盲学校、公共図書館にも備えられるようになってきました。

 点字絵本とはパソコンを使って文章を点訳すると共に、絵の部分も点図で表したものです。上記の三種は晴眼者も一緒に楽しむことができますが、この点字絵本は無地の紙に点字や点図が印刷されているだけのため、視覚障害児(者)用といえるでしょう。
こうした手作りの絵本が増えていく一方、1979年にはじめて『これ、なあに?』という、さわって楽しめる絵本が偕成社から出版されました。その後同社からさらに2冊が出版され、見えない子ども達がそれらの絵本を書店で購入できるようになったことは、画期的な出来事といえるでしょう。その後1983年には小学館から手で見る学習絵本雑誌「テルミ」が創刊され、隔月刊で今も号を重ねています。

 こうした出版物も当時は単色のものばかりでしたが、私たちが『チョキチョキチョッキン』(1996年こぐま社)を出版した頃から、「さわれるだけでなく、見ても楽しい絵本を」という考え方が広がり始め、フルカラーの点字つき絵本が増えてきました。

 この点字つき絵本とは、印刷されている絵を樹脂インクで盛り上げて触って分かるようにし、文字は点字と普通の文字で書かれていて、見える人と見えない人が一緒に楽しめるように工夫されたものです。そして、このような絵本が2002年までに、直販を含め、約20冊が出版されましたが、一方で品切れになるものもあり、必ずしも「増えてきている」とは言えません。書店で購入できる点字つき絵本がもっと増えてほしいという声を聞く中で、私はそれを実現させるには、なかなか増えない理由を分析し、それを一つずつ解決していく必要があると考えました。そこで、2002年の4月、これまでに点字つき絵本の出版歴のある会社に呼びかけて、集まってもらい、話を聞かせてもらうことにしました。これが「点字つき絵本の出版と普及を考える会」の発足となりました。

 現在、出版社や印刷関係者、研究者や書店関係者、など20数名が参加していますが、この活動に関心がある方ならどなたでも参加できます。会の事務局はてんやく絵本ふれあい文庫に置き小学館の会議室をお借りして、年2回の集まりを続けています。会の発足からこれまでに、小学館・偕成社・こぐま社から計6冊の点字つき絵本が出版され、直販のものとして、UD絵本センターから毎年1冊出版されています。

 一方普及という面で、まずは現存する点字つき絵本と、点字はないけれど絵がさわれるという絵本の情報を収集し、その情報を必要としている人たちに届けようと、絵本を出版している約90社にアンケート調査を行いました。その調査結果をもとに、約50タイトルを掲載した「点字つき絵本・さわる絵本リスト」を作成し、配布しています。
http://homepage1.nifty.com/fbunko/tenjiehon/index.htm
最近はこの リストを基に、「点字つき絵本・さわる絵本コーナー」を常設している書店や、絵本展などで、このコーナーを設けてくれるところもあり、そこではてんやく絵本も並んでいることが多く、沢山の情報を手に入れることができます。

「バリアフリー」とか「ユニバーサルデザイン」という言葉が 盛んに使われるようになった現在、 もっともっと見える人と見えない人が一緒に楽しめる絵本を たくさん増やしていかなければならないと私達は考えています。


てんやく絵本 ふれあい文庫
代表 岩田 美津子
〒550-0002
大阪市西区江戸堀1丁目25番35号  近商ビル2階
TEL/FAX (06) 6444-0133
http://tenyaku-ehon.la.coocan.jp/



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