バリアフリー絵本

ふきのとう文庫と岩田美津子さんが第55回野間読書推進賞を受賞されました



団体賞・個人賞ともバリアフリー絵本関係者の受賞となりました。読書バリアフリー法施行の影響でしょう。ふきのとう文庫も岩田美津子さんも、数多くの受賞歴をお持ちですが、「読書」の賞は、バリアフリー絵本全体にとって、意義の大きな受賞です。

団体賞の「ふきのとう文庫」は1970年設立当初からの理念は「すべての子どもに本の喜びを!」です。ふきのとう文庫の功績の一つである、バリアフリー絵本としての布絵本制作は(ふきのとう文庫では「布の本」と言っています)ちょうど今から50年前に最初の作品が出来ました。

日本で初めて障害がある子のために制作された布の本
『ビーだまいくつ?』ふきのとう文庫制作 1975

ふきのとう文庫の創立者の小林静江さんは、岩波書店で日本の子どもの本の歴史に重要な意味のある「岩波こどもの本」の編集などをされた方でした。通常の本や絵本などでは喜ばない、今でいう重い医療的ケア児であった子どもたちが喜ぶ本として開発したのが布の本でした。小林さんは「本」を開発したのです。これら「布の本」を出版したいとも奔走しましたが、それは実現しませんでした。けれど、作り方の本の出版と制作セットの販売という形で、出版に代わる方法を編み出しました。今日、日本には沢山の手作りの布絵本制作団体が活動していますが、この制作セットが布絵本の普及に果たした役割は大きいものでした。
しかし小林さんの願い通りには、布絵本はそう簡単に「本」として社会的に認められたわけではありませんでした。つい最近までも、本ではない、おもちゃだ、本とは違う文化財だと言われることも多く、図書館ではその管理の難しさもあり、図書館資料とする館はそう多くはありませんでした。その流れを一変したのが2019年の読書バリアフリー法などに依る、図書館での障害者への合理的配慮としての図書館資料としての配備だったわけです。ふきのとう文庫の読書推進賞の受賞は、布の本・布絵本を「本」と認めた意味で本当に重要なものです。

個人賞の岩田美津子さんの「手作りのてんやく絵本」から「点字つきさわる絵本出版」へのたゆまぬ歩みは、すばらしいものですが、その出発であった「てんやく絵本」こそに、その功績の貴重さが凝縮しています。絵本は大人(親)が子どもに読んであげるものでもあり、絵本を読んであげらない「見えないお父さんお母さんお兄ちゃんお姉ちゃん」への絵本のバリアを「てんやく絵本」は超えたということです。そういう絵本のバリアがあることに、世の中ははじめててんやく絵本によって気が付いたわけです。

 『てんやく絵本 こぐまちゃんとぼーる』てんやく絵本ふれあい文庫制作
絵本の文章を塩化ビニール製の透明なシートに点訳し、原本の活字部分に貼付し、
同じシートで絵を象って貼りこみ、さらに絵の説明文を点字で書き添えてある

ふきのとう文庫さん、岩田美津子さん
おめでとうございました!
こころより、お祝い申し上げます。

(攪上久子)