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点字絵本の会

点字絵本の会

寒川孝久

点字絵本の原点

 昭和60年、学校を定年退職した私は徳島県板野郡板野町社会福祉協議会事務局長を委嘱された。法令に基づいた福祉事業を推進する行政の隙間を、住民サイドから補完する活動である。これは、後の点訳ボランティア活動の、基盤になった。これと平行して、夜、徳島大学工業短期大学部電子工学科の聴講生として、コンピュータの基礎から先端技術までの講義と実習を受けた。平成3年に社協を退職したので、徳島県点訳奉仕員養成講座を受けた。当時、パソコン点訳が始まったばかりだった。終了後、同期の人の多くが成人向けの点訳をしていたので、私は児童向けの点訳を始めた。

 初めてイソップ物語の「ライオンとねずみ」を点字板で打って、盲学校へ持っていった時、4年生の男児が、指ですらすらと声を出して読んでくれたのに感動した。ところが、その子が読んだあとで、「ぼく、ライオンってどんな形かしらん」とつぶやいた。私は、ショックを受けた。ライオンやねずみがどんな動物か知らなければ、このお話の意味が理解出来ない。けれども、視覚障害児は絵本もテレビも動物園の動物も見えないから、ライオンを知らないのだ。「子どもの本の点訳には、挿絵を付けなければだめだ」と痛感した。けれども、当時、挿絵の付いた点字の児童書は、ほとんど無かった。

 

点字図形作成器の開発

 点字板で、点字の絵を描くことは出来ない。布や紙を動物などの形に切って台紙に貼り付けたり、太い糸を糊で貼り付けたりする方法はあったが、大変な手間と時間がかかる。なんとかして、点字の点で絵が描けないかと考えた。私は教育研修センターで理科実験法開発の仕事を担当したことがあるので、アクリル樹脂板を切ったり接着したりする技術がある。試行錯誤の末、アクリル樹脂板などを使って点字の点の連続で絵を描く「点字図形作成器」を考案した。これを使って、「かぐやひめ」「ねずみのよめいり」などに挿絵のついた点字絵本を作って、盲学校へ持っていった。これは、子どもたちから大変に喜ばれた。平成5年度徳島県発明工夫展に出展したところ、県知事賞(最優秀賞)を頂いた。しかし、点字の方はパソコンと点字プリンターで印刷できるが、絵はこの方法では1頁1頁の手作業になる。

 

点字図形作成ソフトの開発

 これを見た盲学校の藤野稔寛先生が、日本ではじめて点字の点で絵を描くパソコンソフト、EDELを開発した。平成5年頃のことである。藤野先生は数学の先生で、パソコンのソフトを作って、2次方程式のグラフを点字で描いたりしていた。このソフトは、改善を重ねながら次第に機能を向上していった。MS-DOSからWindowsへの難関も乗り越えた。これで、点字も絵も点字プリンターで大量印刷できるようになった。私は、次々と挿絵の付いて点字絵本を作って、全国の盲学校へ寄贈した。盲学校の児童から、お礼の手紙が殺到した。児童生徒の手紙から、挿絵のついた点字絵本は、児童生徒の心に豊かな灯をともしていることがうかがえた。点字用紙は北島ライオンズクラブから継続寄贈して頂いている。また、日本船舶振興会(現・日本財団)から点字プリンターESA721(約100万円)を頂いて、点字印刷も自宅で出来るようになった。

 

点字絵本の会の発足

 私は、このことをホームページで全国に発信した。全国から、この活動に参加したいという会員が入会してくださった。会員は、自宅のパソコンで点字の文字と絵を入力し、そのデータをメールに添付して送ってくる。それを私が校正・印刷して全国の盲学校へ寄贈する。このようにして点字絵本は全国の盲学校へ普及するとともに、会員の皆さんの大変なご努力のおかげで、点訳データは急速に増大した。点訳内容も、「絵本や童話」から「ガリバー旅行記」などの「児童文学」、「ちびまる子ちゃん」などの「コミック」、動物図鑑などの「学習資料」、Miffy などの「英文」へと発展した。英文の点字絵本は、アメリカ、オーストラリア、ニュージランド、韓国など、海外の盲学校へも発送して、国際交流が生まれた。この活動は、NHK教育テレビで全国放送された。

 

北島町立図書館の郵送貸出活動

 私は、平成8年から2年間北島町立図書館長を委嘱された。それを機に、制作した点字絵本を製本し、図書館の蔵書として全国の盲学校へ郵送貸出を始めた。盲学校や視覚障害者個人から、貸し出し希望が続いている。貸出目録は、ホームページに載せた。これは、全国の公立図書館には例のない活動で、文部省(当時)は公立図書館のモデル活動として、全国に紹介された。

 

読書感想文課題図書の点訳

 私たちの活動で盲学校から大きな期待がかけられているものに、「青少年読書感想文全国コンクール課題図書」の点訳がある。これは、小学校低学年、中学年、高学年、中学校、高等学校の5部門に分かれて、18冊の課題図書が示される。しかし、盲学校の児童生徒は、このままではこのコンクールに参加することが出来ない。私たちは、この10年間これらの課題図書全編を点訳して、印刷またはデータで盲学校へ提供する活動を続けてきた。多くの盲学校の児童生徒は、夏休みにこれらの課題図書を読んで感想文を書いている。

点訳図書数(平成20年1月現在)
   
絵本・童話 835編
児童文学 551編
コミック等 56編
学習資料 101編
英文 156編

合計 1701編

    

点訳データの利用の仕方

点字絵本の会のホームページ http://wwwc.pikara.ne.jp/tenjiehon にアクセスすると、この点訳データをダウンロードすることが出来ます。パソコンに点図作成ソフトEDELをインストールしておきますと、この点訳データを
パソコンの画面上で見ることが出来ます。EDELは、EDELーplusのホームページ http://www7a.biglobe.ne.jp/~EDEL-plus から、無償でダウンロードできます。

なお、この点訳データはEDELだけで作られていますが、ほとんどの点字絵本の点訳データは、文字をT・エディタで入力してありますので、文字の部分を見るにはT・エディタが必要です。点字印刷するには、点字プリンターESA721などが必要です。

EDELは、図形を点字の点で描くことを寒川孝久が発案し、藤野稔寛(徳島県立城東高校教諭)がそれをプログラム化した、世界で始めての点図作成ソフトです。

点字絵本の会 連絡先 t-kangawa@me.pikara.ne.jp

 



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